黒松盆栽を買ってみたいけど、買った後にどんな作業があるのか、どんな管理方法で育てないといけないのか、なかなかイメージが沸かない方もいると思います。
とくに忙しい会社員の方は、そもそも盆栽を楽しむ時間を確保できるのか、気になると思います。
そこでこの記事では、黒松盆栽を種から育てたり、黒松の苗木から盆栽へ育てたり、立派な黒松盆栽を維持・管理するために必要な基本的な作業を頻度別で紹介します。
どんな作業があるのか知っておけば、勢いで黒松盆栽を買ってしまっても慌てることはありません。
一緒に黒松盆栽を楽しみましょう!
盆栽士
ちちりん
はじめまして、ちちりんです。盆栽歴(趣味)3年のサラリーマンです。1軒屋の庭(裏)で200株以上の盆栽苗を育てています。
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1.毎日おこなう作業
まずは毎日おこなう作業から紹介します。
植物が育つためには適度な太陽光と水、風が必要となります。
地面に植わっている植物は、地面の水分を吸って生長しますが、盆栽は鉢やポットに植わっているため、人間が定期的に水を与える必要があります。
基本は毎日ですが、季節や温度によって与える頻度が変わります。
詳細は以下の記事にまとめていますので、詳しく知りたい方は、ぜひ読んでみてください。
実は、盆栽をはじめたばかりの方にとって、この毎日おこなう水やり作業がとても大変です。
最初は私も「あ〜面倒だな〜」と感じていました。
しかし、日課になるまで習慣化することができれば、苦ではなくなりますので頑張りましょう!
どうしても毎日の水やり作業が困難な方は、自動潅水装置を作ってみてもいいかもしれません。
2.毎週〜数ヶ月に1回の作業
次は毎週から数ヶ月に1回ペースでおこなう作業を紹介します。
使う肥料によって頻度が異なりますが、盆栽では施肥(肥料をあげること)というが必要となります。
具体的には
- 新しい肥料を置く
- 古い肥料を取り除く
となります。
作業頻度は肥料の肥効期間に左右されます。
肥料の肥効期間が2周間ごとに施し、2ヶ月であれば2ヶ月ごとに施します。
なお、液肥であれば、古い肥料を取り除く必要はありません。
おすすめの肥料は以下の記事で紹介していますので、参考にどうぞ。
3.毎年〜複数年に1回の作業
最後は毎年もしくは数年に1回の頻度でおこなう作業を紹介します。
植え替え作業は、用土を新しいものに変えて、伸びきった根を剪定します。
植え替えをしないと、鉢やポットの中の根が生長して水捌けが悪くなり、場合によっては枯れてしまうことがあります。
なので、盆栽では定期的に植え替えの作業が必要になります。
詳細は以下の記事にまとめていますので、詳しく知りたい方は、ぜひ読んでみてください。
剪定とは「枝を切ること」を意味しており、不要な枝や忌(い)み枝を切る作業です。
しかしながら、黒松盆栽では枝だけではなく、枝になる前の新芽を切る(もしくは折る)作業や葉っぱ(針葉)を切る(もしくは抜く)作業が必要となります。
これらの作業は盆栽特有のものなので、庭木の手入れ作業とは少し異なります。
黒松盆栽をつくる、または維持管理する上で、必ず知っておいてほしい作業が「芽切り」です。
これは春に伸びた新芽を梅雨〜夏頃に切る作業となります。
芽切りをすると枝の節や分かれまでの間が短くなって枝数が増え、針葉を短くすることができます。
この記事にまとめていますので、詳しく知りたい方は、ぜひ読んでみてください。
芽切りをする時、一緒におこなう作業として「葉透かし」があります。
前年の葉を一定枚数の残し、他の葉を切るもしくは抜く(透かす)作業です。
葉透かしの目的は、下の方や懐の枝や芽の日当たりや風通しを良くすることです。
黒松盆栽はすべての枝や新芽が同じ強さで伸びてくるわけではなく、日当たりの良さや風通し、幹に近いなど要因によって強さが異なります。
残す葉の枚数を、枝や芽の強さによって調整します。
全体のバランスを見て、枝や芽の強さを均一にするためのとても大切な作業になりますので、ぜひ覚えておいてください。
夏に芽切りをすると、松は慌てて2番芽をつける習性があり、この2番芽は2つ以上の芽がつくことが多くあります。
この2つ以上つけた2番芽を2つだけ残す作業を「芽かき」と呼びます。
芽かきは秋頃におこなう作業で、同じくらいの強さの2番芽を2つ残すことが基本です。
時期が早すぎると、まだ2番芽が固まっておらず、残す予定だった2番芽まで簡単にポロッととれてしまう可能性があるため、十分注意しましょう。
春に力強く伸び始めた新芽を途中で折るもしくは切っておくことで、それ以上新芽を伸びないように調整する作業です。
新芽が伸びることにより、新芽の元にある枝も太くなります。
なので、枝が太りすぎないようにしたり、各枝の強さ(樹勢)を調整する(バランスをとる)ために行うための作業です。
植物の枝は日光の方に向かって伸びていくため、段々と上に向かっていきます。
盆栽は古さを表現するため(おもに雪の重さや風の影響を表現しています)には、枝を下げる必要があり、その手段の一つとして針金を使います。
枝や幹に螺旋状に針金を巻きつけて、枝を左右に振りながら下げていきます。
他には苗木のときにおこなう「曲付け」や完成木の整枝作業にも使います。
針金の巻き方は樹種によってほとんど違いはありません。
ひたすら針金をかけて、枝を曲げていく練習を行なって習得していくしかないと思います。(樹が折れない曲げ方や針金の掛け方など)
以下のサイトがとてもわかりやすいので、参考にリンクを貼っておきます。
針金の巻き方も盆栽をきれいにみせるための重要な要素となり、他の樹種を育てるときにも役に立つ技術なので、ぜひマスターしておきましょう!
その他の作業
最後は直接的な作業ではありません。
また、人や環境によって要否が変わりますが、一応紹介だけ。
凍結、積雪、霜、乾燥などから盆栽を守るために、「ムロ」と呼ばれる部屋や箱のなかに盆栽をいれることを「ムロ入れ」と呼んでいます。
樹種と住んでいる地域によって必要な作業となります。
寒さに弱い樹種は、寒害によって枯れてしまう恐れがあり、ムロに入れて保護します。
黒松は暑さにも寒さにも強い樹種なので、基本は必要ありませんが、私は九州に住んでいるため、参考にならないかも…。
東北地方より北に住んでいる方は、近くにある盆栽園に聞いてみてください。
黒松盆栽を購入したら、棚場を準備してあげましょう。
棚場は住んでいる家や環境によって多種多様です。
自分で作ってもいいし、植物棚のようなものを購入しても大丈夫です。
黒松は日光を好む陽樹なので、1日中日が当たる場所が良いでしょう。
また風通しもよく、地面から一定の高さがある位置に置くようにしましょう。
水道が近いと、毎日の作業が楽になるかもしれません。
それから定期的に棚場の清掃も行いましょう!
まとめ
黒松盆栽を手に入れた後のイメージはできましたか?
毎日水をあげて、たまーに肥料をあげて、あとはほとんど何もしないことが基本です。
忙しい会社員の方でも、朝の水やりを行う時間を確保できれば、黒松盆栽を育てることができます。
逆に色々とお世話をしたい方にとっては、物足りないかもしれません。
いじりたい気持ちを我慢するのはつらいですが、他の樹種に比べ、黒松は「盆栽としての作業」は多いです。
なので、盆栽をはじめるなら「黒松盆栽から」スタートするのが一番よいと思います。
詳しくはこの記事にまとめていますので、詳しく知りたい方は、ぜひ読んでみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。